なぜ自殺したいの?

20~30代の死亡原因の1位は、病気でも事故でもなく、自殺だそうです。
国際的にもその数値は突出しているようで、宗教的に自殺を戒める文化圏と比較すれば、自死を潔いという美意識の名残があるのでしょうか。
自殺は鬱病などの病気からくるものも多いですし、健康問題の悩みによるものが多いということなので、病気が一因ではあるでしょうが。

最近、肘が痛くなったり、肩が痛くなったり、耳鳴りが続いたり、定期的な運動や食事に気をつけていても年齢と共に身体的不調を感じて、鍼治療に通ったりしています。
それまで腕力と体力と柔軟性だけには自信があっただけに、思うように使えない体にストレスを感じたりします。
それでも、今までできたことができないからストレスを感じるので、元々普通の女の人は腕力も握力もないし、体の硬い人は背中に手が届かないのが普通なんですよね。

『困ってる人』や『さらさらさん』の著者は、普通以上に行動的な女子大学院生で、世界を駆け巡って困ってる人を助けようと思っていたら、自分が困ってる人になってしまいました。

いきなり身動きが取れなくなり、原因究明のための過酷な検査の連続の最中も、両親や親戚に頼ることができず、自分一人で問題を解決していきます。
そんな難病体験をユーモラスな文章で書いていて、とても毎日自殺を考えていたとは思えません。
自殺しない方が不思議なくらい大変な目に合いながら、さらに自分一人で生きていくためにはどうするか、難病のための高額な医療費と生活費を稼ぐ方法を模索します。

これを読めば、大抵の苦労は自殺するほどではないと思えます。
でも自殺を考える人にとっては、自分の目の前のことしか見えないでしょうし、そんな困難をユーモラスにかける文章力があるのは特殊な人に見えるでしょうし、そもそも読むことに救いを求めないのかもしれません。

『困ってる人』を読んだ時は、いくら地方に住んでいるとは言っても、東京の私立大学に娘を通わせる能力のある両親が、何故助けに来ないのだろうと不思議でした。
両親についてはムーミン谷のパパとママだから頼ることはできない、というだけで詳しいことはわかりません。
ただ、両親との関係が希薄なわけではなく、進学にしても進路にしても、子どもの頃から親を頼る習慣がなく、自分で調べて自分で決めて生きてきたから、どんな状況でも自分で生きていくことが当たり前だと思っているようです。

『さらさらさん』を読んで、福島の子どもの少ない集落で育ち、決して豊かとは言えない家庭ながら、本だけは豊富に買ってもらえたことがわかりました。
お母さんが貧しくて本が読めなかったから、娘にだけはどんな無理をしても本を読ませたいと言っていたそうです。
『はてしない物語』など、我が家では実家が本屋だからこそ読めたような高価な本を、惜しげもなく買ってくれたそうです。
そんな親の思いを吸収し、大量の絵本や児童書や文学や評論や詩を読んで育つことで、自立心や向学心が育ち、困難にも負けない方法を身につけたのでしょう。

現在はネットからの情報が氾濫し、若い子だけでなく中高年以上もフェイスブックにはまるなど、読む行為が携帯に依存し、本から離れています。
自分もソフトウェアの仕事をしていて、子ども達にも小さい頃からTVやパソコンやゲームを与えてきていて、本だけで育てるのは不可能になってきています。
それでも、思いつきでつぶやいた言葉だけに翻弄されるのではなく、資料を収集し、内容の整合性を考慮し、何度も推敲した上で発表された文章もたくさん読んでほしいと思っています。
たくさんの本を読むことで、様々な環境で育ち、いろいろな価値観を持った人の考えに触れ、自分の生きる世界だけが全てではないことを知り、自分の生き方を振り返り、どう生きたいかを考えていってほしいと思います。

死にたいほど辛いことは人生で何度もあるでしょう。
その度に死んでたら命がいくつあっても足りません。
死にたいほど嫌なことがあったら、まずは逃げ出すことを考えましょう。無理して嫌なことと付き合うことはありません。
でも、子どもの頃は生きることを大人に依存しているので、周囲の大人が原因の場合は自由にはなりません。自分で生きていける道を探りながら、何年か辛抱する必要があります。
自分で生きていくために今何ができるか考え、能力を磨く必要があります。
それを実行しているうちに、大人になれます。

大人になったって死にたくなることは山ほどあるでしょう。
でも、子どもの頃苦労していないから、大人の自由さを自覚できないだけです。
他人と比べて、仕事がキツイ、収入が少ない、友人が少ない、恋人ができない、などと他人に依存した価値観を持っている限り、自分の幸せは掴めません。
成人になったら、既存の価値観に縛られない限り、親に依存しないでも好きなように生きていけるのです。
早く大人になって自由になることを夢見る子どもにとっては、成人であるというだけで贅沢です。

嫌だからと仕事を転々とすれば良いわけではありません。
自分の能力とやりたいことを見極め、自分の能力を伸ばしながら生活も向上させることを考えれば良いでしょう。
自分が持っていない物のことで、ひがんだり妬んだり不幸になることはないでしょう。
それは、物だけでなく人間関係でも同じです。
職場では親友や恋人を作るのが目的ではなく、どう円滑に仕事を進めるかだけを考えて人付き合いをすべきです。それができない人とは、極力接触時間を減らすことでストレスを減らすしかありません。

まあ、うちの教室に数年通って、きつい指導に耐え、何度も失敗を繰り返しながら進級した生徒なら、大抵のことには耐えられるはずだと思います。
就職してキツイ研修に耐えられない若者が増えているそうですが、どんなキツイ上司も坂本に比べればずっとマシ、と思って社会に出てもたくましく生きていってくれれば幸いです。