松江・小泉八雲ミステリーツアー

毎年恒例の次女との夏旅行で、出雲と松江に行ってきました。

 

松江には、小学校の頃『松江の七不思議』という本で興味を持ち、『怪談』を読んだり夏目漱石と同じ熊本の中学と東大で教えた経歴などから小泉八雲に興味を持ち、昔から行ってみたいと思っていました。

28年前、長女が生まれる直前に、NHKドラマ『日本の面影』でジョージ・チャキリス(『ウエスト・サイド物語』主演)が演じた小泉八雲を見ました。
日本の自然、文化、日本人の対応などに感動し、たくさんの随筆を書いて世界中に発信していたことを知りました。
いつか絶対松江に行く!と決めたものの、山陰は遠く、旅費もかかり、三人の子育て中は生活に追われ、仕事や実家や自分自身に問題が次々と起こり、怒涛の二十数年が過ぎました。

今年の旅行はどこか近くで済まそうかと思っていたところ、ネットで「松江ゴースト・ツアー」なるものを発見しました。

http://www.matsue-tourism.or.jp/ghost-tour/index.html

小泉八雲の曾孫の凡さんに案内してもらえる、行き先は秘密の「ミステリー・ゴースト・ツアー」というのも7月と8月に1回ずつありました。

次女に「こんなの見つけた」と言うと、大喜びで「8月なら行けるから絶対行きたい!」と言います。8月はそろばん教室が始まる前日で、もし天候の都合で飛行機で帰って来られないと困るから7月でないとダメ、と揉めました。
次女は、大学四年にも関わらず、大学院を目指すからと就活もせず、専門以外の科目も多く履修しており、自然科学の実習で大島の海洋観察や博物館研修やゼミの合宿や諸々で忙しく、どうしても8月でなきゃ無理、という話。

日程は不安だし、旅行積立の予算はまったく不足しているけれど、長年行きたいと思っていたし、この機会を逃したらいつ行けるかわからないので、何とか工面して思い切って決行することにしました。

本当に行って良かった!
次女の城好きに付き合って方々の城下町に行きましたが、あんなに頑張って町並みや自然やお城の外堀まで保存している所は珍しい!
八雲が愛した明治時代の雰囲気を少しでも感じられれば、と思っていましたが、日本にもこんなに頑張って保存されているところがあるんだと感動しました。

松江城は、内堀だけでなく外堀もかなり残っていて、船でお城の周りを一周できます。
昔のまま残されている部分も多く、アオサギやカルガモなどの鳥もたくさん見られました。
船頭さんが、松江の歴史や、観光案内、幽霊話などもしてくれました。

小泉八雲の記念館や旧居(元は武家屋敷)に続く武家屋敷も想像以上に多く保存されていて、ほとんどが今でも普通の住まいになっているそうです。

宍道湖の夕陽もきれいで幻想的でした。

 

小泉凡さんが「今の子どもは塾や習い事で忙しくて夕日を見ることがなくなった」とおっしゃっていましたが、大人も同様です。
まだ日が落ちるまでに時間があるだろうとのんびりお茶をして、そろそろ撮影ポイントに移動しようかと外に出たら、みるみる日は沈み、間に合わない~と撮ったのが四枚目です。
はるか向こうに小さい人が見える場所が、目指した場所でした。
こんな風に地平線に日が沈むのをじっくり見たのは、本当に久しぶりです。
沈みかけた夕日が、こんなにもあっという間に沈んでしまうのを初めて知りました。

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)はギリシャ人のお母さんとアイルランド人のお父さんとの間に生まれ、幼児期に両親が離婚し、アイルランドの大叔母さんに引き取られました。
厳格なカトリックの教育を受けながら、ギリシャ神話と日本の神話の共通性や、ケルト民族と日本人の自然に対する畏怖の感情の共通性に惹かれて、日本の伝承話を収集しています。

日本人は一般に、子どもの誕生や七五三では神社にお参りし、結婚式は教会でして、お葬式は仏教式でする、宗教に関しては節操のない民族と言われます。
それは、元々が多神教を信じ、木や石などすべての自然や言葉にまで魂があると信じているから、神や宗教に対して排他的ではないのでしょう。
そのために、新興宗教にはまりやすい、という面もあるようですが。

多神教が原始的で一神教が進歩的な宗教という説もあるそうですが、自分が信じる神以外は認めない!という姿勢が多くの戦争を生んでいます。
神話から現人神につなげた宗教教育をして戦争をした日本ですが、鰯の頭も信心からという信じやすい体質を利用された気がします。

夜は人間以外の物の怪が徘徊する異世界で、夕暮れ時は異世界とつながる時間だから、子どもは早く帰っておいで、という教えや、周囲の人間だけでなく、自分の周囲の自然や全てのものがあってこそ自分が存在しているのだから、いろいろなものを大切にしなければ、という感覚は失いたくないですね。
小泉八雲は、どんどん西洋化されて日本の良さが失われていくのを嘆きつつ、120年も前に現在の日本の状況を予測して警告をしています。
怪談話だけでなく、いろいろな民話や季節行事を伝えることで、日本人は人や生活や自然を守ってきたということを、八雲はいろいろな文章で教えてくれます。

ミステリー・ツアーでは、有名観光地ではない古い小さな神社やお寺、昔のまま保存され生活もしている街路などを案内してもらえました。

一番良かったのが、夜の暗闇の世界につながっていると言われる久良弥(くらみ)神社。

それと、日本三大船神事の一つ「ホーランエンヤ」が行われる意宇川の畔。

 

 

昔、イギリスのオックスフォードに二週間ほど滞在した時、サマースクールの先生に周辺の古い小さな教会や河畔を案内していただきました。
その時、19世紀の風景画そのままの風景に感動したのですが、日本にも残っていることを知りました。
そんなのどこにでもあるよ、と言われるかもしれませんが、東京に住んでいて、年に一度旅行に出て観光地を巡るくらいではめったに出会えません。


自分が異世界に行くまでに、現実世界の良い所、異世界と繋がるような神秘的な場所など、できるだけ多く巡ってみたいものです。