「読み聞かせ」の思い出

本好きの子どもに育てるためには10歳位まで読み聞かせをすると良いことを最近知りました。

読み聞かせというのは、文字を読めない子どものために読んであげるという認識でいましたが、そうではないようです。例え文字が読めるようになっても、たどたどしく文字を追っているだけでは意味をくみ取る余裕はありません。字が読めたり文章が読めるだけでは、お話を楽しむことはできないのです。

また、読み聞かせというのは耳から聞いて想像をふくらませることができます。音声で聞いて初めて黙読では味わえない言葉の価値が生まれる場合もあります。

自分が親に直接本を読んでもらった記憶はありません。
ただ、三つ違いの弟が毎晩二段ベッドの下で本を読んでもらっていました。
そのため、小学校三年生まで間接的に読み聞かせをしてもらったようなものです。

「エルマーのぼうけん」シリーズ、「ちいさなモモちゃん」シリーズ、「いやいやえん」、「ノンちゃん雲に乗る」などは、読んでもらってから自分で読んだ記憶があります。
その点、下に兄弟がいる子は得してるのでしょうね。

小学校五年生の時、担任の水島先生が給食の時に本を読んでくれたのも大切な思い出です。ご自分は大急ぎで給食を食べてから、生徒が給食を食べ終わるまで毎日本を読んでくださいました。
具体的に何を読んでもらったかはほとんど覚えていません。
ただ、先生の優しい声が記憶に残っているだけでした。

高校生の頃、夏休みに「ビルマの竪琴」を読んでいました。
初めて読むはずなのに、読み進むうちに何か既視感のようなものを感じました。
水島上等兵が出てきて、水島先生のことを思い出していました。
そして歌の部分になって、先生の歌声がよみがえりました。これは先生に読んでもらったことがあったんだ、と思い出しました。

小さな頃の絵本など、何を読んだかは覚えていなくても、記憶の底に原風景として残ります。具体的には何も思い出せなくても、何となく懐かしい、何となく怖い、という感覚で残ります。
本の中の疑似体験は、そのような記憶の底の経験として積み重なっていく気がします。

冒険ものをたくさん読んでいると、大人になっても冒険心を忘れないとか(時には無茶をしてしまう場合もありますが)、困難に出会った時、逃げ出さずに立ち向かう方法を考え出したりできる気がします。
好きな本があると、一生の心の支えになる場合もあります。

勉強のためとか、教養のためとか、見栄のためとかの読書もあるでしょうが、本は記憶の底にたくさんの風景と体験を積み重ね、人間の肥やしになるものだと思います。
特に絵本をたくさん読むことは、いろいろな絵の風景をため込むことで、字だけの本を読むようになった時の空想の助けとなります。
そのため、10歳位までは絵本の読み聞かせが大切なのでしょう。

そろばん教室の生徒では、本が好きという子が多いのですが、教育熱心な保護者のおかげだと思います。
世の中はそんな恵まれた家庭ばかりではありませんから、本に関心のない保護者がいたり、そのために本に関心のない子に育ったり、好きな本でも買ってもらえない子どももいるでしょう。

昨年10月頃、セミナーを企画する会社を経営する妹と話をしていて、絵本のセミナーができないかな、と提案しました。
できれば親子で楽しみながら絵本のことを学べるようなものができないかと企画してきました。
幼稚園教諭をしている友人を巻き込んで企画を進めるうち、『キッズ・ブック・スペース』という親子ワークショップが出来上がりました。

トライアルとして1月~3月に無料体験企画を開催することにしました。
1/28と2/18に実施してみて、予想以上の手ごたえと充実感がありました。
ボランティアでは継続できないので、有料のセミナーに成長させる予定です。
宗教や政治団体の宣伝、物品販売の商法などと勘違いされがちですが、かつての本屋の娘が本好きが高じて始めた企画です。

本に対する思い入れは人それぞれで、スタッフ間でも方向性を見極めながら企画する必要があるのですが、何とか基本方針をまとめて開催に漕ぎつけました。
多くの子ども達に、いろいろな絵本に触れる機会を作りたいと思います。

本が好きになる親子絵本教室『Kids Book Space』
http://www.kidsbook.jp/