子どもに望むこと

親が子どもに望むことは、親の価値観によって様々でしょう。
自分の人生が成功していると自信があれば、自分がやってきたことをやらせ、同じような人生を歩ませたいと思うでしょう。
思い通りの人生ではなかったと思う人は、自分ができなかったことをやらせ、まったく違う人生を送ってほしいと思うでしょう。

ところが、子どもは親と同じ価値観を持つとは限りません。
親が成功したと思った人生を嫌ったり、親が仕方なく続けていた職業を継ぎたいと思う子どももいるかもしれません。
子どもは親とは別の生き物なので、自分が産んで育てても、何考えてるか理解できないことも多々あり、絶対思い通りにはならないものです。

一番に望むことは、親より先に死なないでほしいということ。
二番目に望むことは、自分の力で楽しい人生にしてほしいということ。
子どもに望むのはこの二つです。

人の役に立つ立派な人になってほしいとか、人に迷惑をかけないようにとか、有名になってほしいとか、金持ちになって親に楽させてほしいとか、親自身ができていないようなことは望みません。
どんな仕事でも、普通に仕事をきちんとこなしていれば、多少なりとも誰かの役に立っています。
人様にまったく迷惑をかけずに生きることは不可能ですから、お世話になった人には感謝し、代わりに自分ができることでお返しすれば良いでしょう。大きな迷惑をかける犯罪的なことをして楽しいと思える人間なら存在価値はありません。

自分の人生を楽しむためには、好きなこと、物、人を見つけることが必要です。
子どもに好きなものを見つける力をつけてあげるのが、親の教育の基本だと思います。
勉強や運動は、将来の出世や経済的成功のためにやるのではなく、好きなものを見つけ、大切にし、楽しむ能力をつけるためのものです。
たくさん好きなものを見つけるには、いろいろな知識をつけ、視野を広げ、探求していく必要がありますから。

好きなものを楽しむには、ある程度精神的、経済的ゆとりも必要です。
最低限生きるためだけに時間一杯仕事をしていては、人生を楽しめないでしょう。
逆に、経済的にも時間的にもゆとりがあるのに、好きなものが何もないという人も楽しい人生とはいえないでしょう。

親自身が好きなことがないと、子どもに好きなことの話をすることもできないし、感動も共有できません。
楽しい過ごし方もわからないので、勉強をさせることしかできないでしょう。
親も自分自身の時間を大切にし、自分の好きなことを楽しむことで、子どもに好きなことの話をすることができます。
別に同じ趣味を持つ必要はありません。それぞれに好きなものを認め合って、感動した話、面白かった話、楽しかった話をすることで、いくつになっても親子の時間を楽しめます。

子どもにいろいろな習い事をさせて好きなことを見つけさせることもできますが、基本的には子ども自身の時間を大切にしてあげて、親の予定ですべての時間を取り上げないことです。
必要最低限の学校の勉強などは最短時間で終わらせるようにして、あとは好きなことをして良いことにすると、やるべきことは集中して片付け、自分の好きなことに夢中にもなれます。

子どもが夢中になることに親が理解できなくても仕方ありません。危険性のない限り、邪魔をしないで存分に熱中させることです。
例えば、男の子のカード集めには到底理解しがたいものがあります。たかが紙切れにお金をかけて大量に集めて大切に保管して、お金と時間の無駄としか思えません。
でも、それが将来の資料収集や書類整理の能力につながるかもしれません。
それに、女の子のかわいい物集めには理解を示してしまうので、安易に親の好みで子どもの趣味を批判はできません。

親がすべきことは、子どもが夢中になることを否定することではありません。
子どもが好きなことから、さらにいろいろなことに興味を広げる手助けをすることです。
飽きたから次々に別のものに移るのではなく、好きなことを大切に育て、さらに発展させていくことで新しい発見につながるようにすることです。
それは、研究とかアイデアを出すなどいろいろな仕事をするうえでも必要な能力です。

漫画家を目指しててフリーターの長女、ミュージシャンを目指して中々教職免許が取れない長男、女優を目指しつつ教職免許や学芸員などいろいろな資格を取ろうと欲張る次女など、どれも成功確率の非常に低い子どもたちばかりで、早く資金提供を打ち切らなくては限りなく自分の老後が不安なこの頃です。
でも、育てたように育っただけなのだから仕方ありません。
それぞれに好きなことがたくさんあって、家族で話題は尽きないし、親がいなくなっても兄弟で何とかやっていってくれそうなのが唯一の救いです。

成績のための勉強や仕事のための勉強だけしていると、経済的に余裕のある生活ができるようになってもお金の使い道がわからず、人生を楽しめなかったり、間違った使い方をして大失敗することもあります。
人生には何が起こるかわかりませんが、何が起こっても対処し、適応し、楽しみを見つけて生きていってほしいし、自分もそうありたいと思います。