「あ~あ、終わっちゃった!」

年度末は生徒の出入りが多い時期で、ほとんどの生徒は学校や塾や習い事の関係で教室をやめていきます。

一番嬉しいのは、三級以上の目標を達成してやめる場合で、よく継続して頑張ってくれたなあ、と思います。
勉強や別の能力を伸ばすためにやめるのは、目標に達成していない場合残念ではありますが、本人もある程度納得してやめるので、勉強や他のお稽古を頑張ってね、と言ってお別れできます。

つらいのは、引越しなど家庭の都合で突然やめる場合です。特に熱心に取り組んで着々と進歩している最中の生徒は、本当はやめたくないのに、と納得していない表情でやめていきます。

先日、闘病中のお母さんの通院回数が増えることになり、送り迎えをしているお父さんの負担が増えるため、やむなくやめていった生徒がいました。
小平から西教室に週二回車で通っていた二年生で、毎回張り切ってやってきて、時間いっぱい夢中で楽しそうにやっていました。一年ちょっとで7級に合格し、6級の練習に入ってさらに張り切っていたところでした。

突然やめざるを得なくなったため、いきなり最終日になってしまいました。
これが最後とばかり、いつも以上に夢中でやっていました。
終わりの時間が近づき、このページができたら終わりにしよう、と言っていたページに間違いがありました。いつもなら、間違えちゃった、とがっかりするところが、
「やった!まだできる!」
と喜んでやり直していました。
そして、いよいよ全部丸をつけたテキストを返すと、
「あ~あ、終わっちゃった~!」
と机に突っ伏して、本当に寂しそうな顔をしました。

「国立駅の近くにも教室があるから、自分で電車に乗って通えるようになったら、またおいで」
と言いましたが、
「でも駅まで遠いから・・・」
と言います。
どんなに自分が頑張っても世の中にはどうにもならないことがあるということを、こんな小さなうちに学んでしまうんだな、と思いました。

「でも、家でもできるから」
と自分に言い聞かせるように言って帰っていきました。
こんな粗暴な指導者の教室なのに、こんなに熱心に通ってくれて、こんなにそろばんを好きになってくれて、やめることをここまで残念がってくれるなんて・・・
お母さんの病気という心配ごとを抱え、自分の好きなことをやめざるを得ないという境遇を受け入れ、多分家では持ち前の明るさを一生懸命発揮して頑張るんだろうなと思うとつらくなりますが、きっと逞しく育ってくれるでしょう。

何年も前から、自宅学習用のそろばん教材DVDを作りたいと思っていましたが、なかなか実現させることができないでいました。
今年こそ、通いたくても教室に通えない人のために、本気で取り組んでみようと思います。