キンモクセイの香り

「キンモクセイのいい匂いがするね」
と言いながら、小三の男の子が入ってきました。

自宅の玄関の前に大きなキンモクセイの木があり、窓と玄関を開け放っておくと、キンモクセイの香る秋らしい空気が入ってきます。
ちょっと前まであんなに暑かったのに、気持ちの良い凛とした空気にキンモクセイが香り、一番好きな季節です。

前の日、実家で母とお墓の話をしました。
5年前に亡くなった父のお墓がいまだに決まらず(多磨霊園の高倍率の抽選に何度もはずれて)、母はいい加減どこかにお墓を作りたいようです。
私は宗教行事に一切関心がなく、自分の時は墓も仏壇も戒名も何もいらないから、と子ども達に言ってます。
弟は、法事やお墓参りなどは一応熱心にやってますが、自分の墓はいらないから、作るなら母と二人分でいい、と言ってるようです。
そこで母はいろいろ調べ、樹木葬っていうのもあるんだって、と話してくれました。
お骨を土に混ぜ、そこに好きな木の苗を植えるそうです。

それはいいね。(墓石に何百万もかけなくて済んで)
あとの手入れもいらないし。(掃除や草取りなど、お任せとはいえ、お墓参りには必要でしょうから)
などと、不信心の親不孝者なもので、適当に答えてました。

でも・・・自分もそうしてもらおうかな・・・
キンモクセイとか植えてもらったら、秋には良い香りを広げることができるかも。

そんなことを考えながら夕飯を作っていると、次女がやってきて
「トイレ臭くてやんなっちゃう!」

「はあ~?」
長女と二人で顔を見合わせました。
「キンモクセイが臭いって、どっかおかしいんじゃないの?」
すかさず長女が非難しましたが、親としては、ここまで情操教育が欠如してたか、と唖然としました。
小三の男の子でさえ、挨拶代わりにあんな気の利いたセリフを言えるのに・・・
文芸部で小説書いたり、アフレコ部で台本書いたりしてるみたいだけど、こんな情緒のない人間に何が書けるんだろう?

小さい頃、動物園は喜んだけど、植物園は「花ばっかりでつまらない」などと言ってた子です。人体とか歴史とか、とにかく人間に関するものは好きだけど、それを取り巻く環境には関心がありません。
我が家で唯一宗教行事も好きで、みんなが忙しい時は、一家の代表として法事などに積極的に参加します。
おじいちゃんの仏壇購入にも参加してて、いらないって言うのに、親の仏壇も用意する気満々です。(まだ生きてるって!)

自然のものより、人間が作ったものが好きみたいです。
次女に死後の事は託したくないなあ。
何百万の御影石より、何百円のキンモクセイの苗がいいんだけどなあ・・・