子どもと戦争の話をしてますか?

12月8日は、65年前太平洋戦争が始まった日でした。
子ども達と戦争の話をすることはありますか?
今の子ども達は、戦争体験者から直接戦争の話を聞くことができる最後の世代でしょう。
子ども時代に戦争を体験した人たちは60代後半、実際に戦地に行った経験者は、ほとんどが80歳以上になります。
思い出したくない事実も多いでしょうから、話したがらない方も多いでしょうが、機会があったら子ども達にはできるだけ聞いてほしいと思います。

私の父は、特攻隊の生き残りで、あと一ヶ月戦争が続いていたら出撃して死んでただろうという話です。
母は、東京大空襲の三日前に、荒川区から茨城に疎開しています。
どちらも、ほんのちょっとした幸運で生き残ったわけで、そのおかげで、三人の子どもが生まれ、五人の孫が存在しています。

父は、九人兄弟の末っ子で、年の離れたお兄さん達は優秀で、軍隊でも将校クラスにいたそうです。
戦争の状況も一般家庭より現実的に伝わっていて、日本が勝てる見込みがあるとは思っていなかったようです。
しかも、飛行機ごと人間が突っ込んでいくような作戦に参加していたのですから、先があるとは思えないでしょう。

志願した当時15〜16歳の旧制中学生で、終戦当時は18歳、今の高校生くらいです。
体育と美術が得意で、兄たちほど勉強の成績が良くなかった自分が偉くなるには志願していくしかない、と思ったのかもしれません。
徴兵の場合、どこに配属されるかわからないけれど、志願すると陸軍か海軍かが選べたそうです。
どうせ死ぬなら、地べたを這いずって苦しみながら死ぬより、空から一気に落ちて死んだ方がマシだ、という理由で海軍の航空部隊に志願したそうです。
一番若いくせに、志願していったため、徴兵で強制的に兵隊になったずっと年上の人たちが部下になった、と威張っていました。
とはいえ、仲間が次々と出撃していき、次は自分の番かと何度も死の覚悟をしながら、結局生き残ってしまった、というのは、ある種のトラウマとしてずっと残っていたようです。

戦争映画などを見ていて、「天皇陛下万歳」などと叫びながら突っ込んでいく場面を見ると、
「あんなこと言って死ぬ奴がいるか!みんな、お母さんって言いながら死んでいったんだ」
とよく話していました。
自分が志願すると母親に言うと、何も言わずに送り出してくれたから、偉いお母さんだった、という話もしていました。
そのたびに、
「馬鹿じゃないの。言えない時代だったからじゃない。どこの親が、子どもに守って欲しいと思うもんか」
と反論してました。
ディベートのようなことをさせたがる親でしたから、わざと子どもが反論するような発言をしたのかもしれません。
でも、自分は母親を守るために戦争に行ったんだ、という自慢話を聞かされるたびに、そんなの自己満足だろう、と思ってました。
親にとってはいくつになっても小さいと思える末っ子で、まだ十代半ばの子どもに、命をかけて守ってもらって生き延びて、何が嬉しいでしょう。
親なら、自分より子どもが先に死ぬほどの不幸はないでしょうし、いくつになっても、命をかけても守りたいと思うのが普通でしょう。
そんな普通のことも発言できない時代だったのです。

普通に考えれば、戦争をしたい人間なんているわけないと思えます。
けれど現実には、いつまでたっても戦争はなくなりません。
日本の経済成長も、よその国で起きた戦争のおかげであるように、戦争でお金儲けができるしくみがなくならない限り、戦争をしたい人達は確実に存在し、戦争はなくならないでしょう。
日本では、戦争が60年以上も過去の話となり、いまさら戦争なんて関係ないとも思えます。
でも、戦争をしたい人達が支持してる人がたくさん政治家となり、少しずつ国民の自由を奪っていき、いつのまにか管理され、戦争に巻き込まれていく可能性もあります。
それを実際体験した人達がいるわけで、同じ間違いをしないためにも、今の子ども達にもしっかり伝えていく必要があると思います。

戦争を扱った映画やテレビを親子で見て、いろんな話をしてもいいと思います。
親も子どもも、それぞれに自分で感じ、考えたことを話し合うことで、世の中の動きにも敏感になり、怪しい状況には間違っていると発言し、対処できる人間に育つのではないでしょうか。
今では、直接聞かせられなくなった父の戦争体験は、私から子ども達に話して聞かせています。それをさらに、友達や子どもに話していってくれるといいな、と思ってます。